窓の外/チアーヌ
きないことだ。そこには見えない壁がある。比喩ではなく、ベランダに出て手を伸ばすと、そこには「見えない壁」が実在しているのだ。変な感じだ。でも、目で見ると、脳に働きかける何かがあるみたいで、「壁」があることなんかすぐに忘れてしまい、僕は結構その風景に安らぎを覚えているのだ。
全く、上手くできてる、と思う。
朝起きると、僕はすぐに窓を開ける。涼しい風が吹き込み、僕は深呼吸する。
朝ごはんは、トーストにコーヒー。僕の母は「本当の食べ物」が好きで、わざわざ取り寄せては僕にいろんなものを食べさせてくれた。だから僕は今でも「食べ物」が好きで、今ではほとんどの家から消えてしまったキッチンで食事を作るこ
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