梅雨とキャミソール/ヤマト
ローソンの前にキャミソールが落ちていた
どこをどうやったら
そんなとこにキャミソールが落ちるのかが分からない
しかしまぁ、理由はどうであれ
結果としてそこにキャミソールは落ちていた
落とされたのか、捨てられたのか
雨に濡れ、日に照らされ
車に踏まれ、バイクに踏まれるキャミソールは
何を言うでもなくただうずくまっていた
かわいそうなキャミソール
物はしゃべることができない
もちろんキャミソールも例外ではない
犬は本能的に家に戻ることができる
だが、キャミソールには土台無理な話だ
かわいそうなキャミソール
僕は黙ってそのキャミソールを
ローソンのゴミ箱に捨ててあげた
風は冷たく、周りの目も冷たかった
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