同情するならお金下さい。/絶倫号
ものであったか。できることならば、私はこの自分の障害を一切誰にも知られることなく、ひっそりと生きていきたいと願っている。何故なら、へんな同情の念を抱かれたくはないからだ。私のこの感情は一種の屈折したコンプレックスなのかもしれない。随分前に放映していたテレビドラマ「世紀末の詩」で登場人物の一人がこのような事を言っていた。
「せっかく席を譲ってもらったのに、素直に席に座らずに憤怒する、心貧しき老人達。」
確かこのような事を言っていたと思った。私もこの心貧しき老人達の一人であると思う。できれば、普通の人であると思われて生きてきたいのだ。人から同情されるたびに、私の心には決して綺麗ではない感謝の念と、
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