たもつさん「十階の家族」を読んで(感想文)/ベンジャミン
とすれば、もしかしたらその方が容易かもしれないと僕は思います。むしろ、そういった不安要素を連ねて、今ある幸せを浮かび上がらせてみるほうが自然だとも思うのです。
しかし、この作品では、ほのぼのとした感じが前面に出ていて、それをそのまま受け止める方が自然のように感じさせてくれます。けれど、後半から終盤にかけては、一抹の不安も確かにのぞかせているわけです。
僕は単純です。難しいこともわかりません。
ただ、何度も読み返しているうちに「何となくいいなぁ」という気持ちが、「何となくもの足りないなぁ」という気持ちを上回ったのは確かで、そしてその根底には少なからず、これから先を積み上げていこうとする意思に対する、羨望と憧れと願いがあったからだと付け加えておきます。
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