銀紙日和/かなりや
 
ドラえもんのシートの上にすわって
のび太くんの顔を踏まないようにすわって
世界の中心を見つめるような気持ちで
そっと扉を開ける
プラスティックの扉は二重になっていて
わたしを拒んでいるようなのだけれど
それでいて鍵などはしていないものだから
かんちがいしちゃいそう
たまに
シートからはみだして
ちくちくと
毛足の短い芝生のえじきになるの
それでもそんなのは痛みのうちに入らないわ
痛みっていうのは
銀紙を奥歯で噛んだとき
あのときに感じるものを、痛みっていうんだわ
今日も、また銀紙なの
ラップの方がいいっていったのに
扉を開けて
夢の世界に飛び込んだとしても
銀紙のせいで
現実に引き戻されてしまう
だからといって
銀紙だけおいて帰るというわけにもいかないのよね
ゴミはきちんともちかえりましょう
かれそうな声が、芝生のうえを這っているから

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