【わが短歌・俳句入門】<多佳子・修司>/藤原 実
 


俳句入門を思い立って、アンソロジーなど読み始め、まず最初に心惹かれたのは橋本多佳子の


螢籠昏ければ揺り炎えたたす


という一句だった。もとより俳句に関しては教科書的知識以上のものは持っていなかったので「こういうのもありか」と新鮮だった。
俳句といえば「写生」とか「ワビ、サビ」とかイメージしていたが、この多佳子の句は、あるものを見ているだけではガマンできずに近づいて、のぞきこんで、手に触れて、あげくに揺さぶってしまうというはげしさである。

寺山修司はエッセイの中で、この句について『まるで愛情の催促ね』と登場人物のひとりに言わせている。一見、揶揄しているかのよう
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