人魚の歌/yuma
 
色なんか何もなければいいのに。
全部白と黒だったなら。
全部白と黒だったならそれらに完璧を求めるなんて無駄な事しなかったのに。

スターバックスで飲むコーヒーは何だかんだいって
コーヒー以外のものが入りすぎていて。
だからってコーヒーだけでもそれが純粋な黒かどうかは疑わしくて。
・・・・・・別に私はこの世界が薄汚れた黒であったって構わないけれど。

色なんか全部抜けてしまえばいいのに。

授業で使うために渡された画用紙は
何も無いだだっ広い砂漠みたいだったけれど。
それでも、それは『真っ白』ではなくて。
――つーって画用紙を撫でると指の皮は面白いように切れて。
『白い砂漠』は紅く染まった。

色なんか全部塗りつぶされてしまえばいいのに。

指はジンジンと痛んだけれど
紅く塗りつぶされた画用紙は妙に私に心地よかった。
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