ね〜え/イタチ
「ホットひとつ」
ぶっきらぼうに彼は言う
毎朝、ここへコーヒーを飲みにやってくる彼
彼とはよくこうして会うのだけれど
会話なんて、私の「ありがとうございます。」
で、もう終わり
それだけ
「おかわりはご自由となっております。
お気軽にお申し付け下さいませ。」
彼にこのセリフを言う必要もない
彼はもちろんそんなこと知ってるもの
「お会計は、、、あ、
失礼いたします。250円ちょうどお預かりいたします。」
ねぇ、私が「お会計250円でございます」なんて
彼は聞きあきてるのよね
250円を渡す彼の大きな手
コーヒーを飲む彼の背中
ちょっと物思いに耽ったりして
ね〜え、私はあなたの
「ホットひとつ」 の為に毎朝ここに居るのよ
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