通り雨/
落合朱美
あって
寂しさに負けては
何事もなかったように寄り添って
そんなことばかりの年月
今もしも電話をかけたらきっと
あの人は静かに受け入れてくれる
だけどそれはもう
愛情なんかじゃなくて
ただのふたりの弱さだということを
たぶんあの人も知っている
それにしても
どうしてこんな日に雨なんだろう
痛いね
痛すぎるね
泣いていればいいと思った
せめてあの人もこの激しい雨の中
車を走らせながら
私を思い出して
泣いていればいいと思った
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