オオミズアオ(百蟲譜49)/
佐々宝砂
誘蛾灯の下でバサバサ
大きな腹を揺すぶって
分厚い羽をバサバサ
まるでモスラみたいにバサバサ
記憶のなかのオオミズアオは
そんなふうにとっても大きかったのに
こうして見ると
意外に小さいんだね
夜光塗料塗ったみたいな
水の色した綺麗な羽も
思っていたより薄っぺらだね
再会できて嬉しいけどさよならしよう
部屋の明かりは消すつもりだけど
蚊取り線香は消したくないんだよ
未完詩集「百蟲譜」より
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