荷物違い/服部 剛
そいで
人間の 血 生 臭さ を
溶かせるとでも思うのかい? 」
体中で 欲望と争いの火種が
充血した目玉をうすら笑いでひらいては
果てない細胞分裂を繰り返す
昔々
「自由って一体何だい?」 *
って拳を突き上げ詩(うた)ってた誰か
の言葉に酔いしれた十代の立ち位置から
不器用な歩みで
いろいろな人と出逢い
曲がりくねった道を伸ばしてきたが
いつのまに
「自由」の靴を
履(は)き違えていたようだ
(人生と 墓場の色は 白じゃない)
日頃のいらいら虫を忘れたい休日
気分を変えようと街に出る
一人 坐る カフェの窓
緑
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)