荷物違い/服部 剛
 
そいで
 人間の 血 生 臭さ を
 溶かせるとでも思うのかい?   」

体中で 欲望と争いの火種が
充血した目玉をうすら笑いでひらいては
果てない細胞分裂を繰り返す

昔々
「自由って一体何だい?」 *
って拳を突き上げ詩(うた)ってた誰か
の言葉に酔いしれた十代の立ち位置から
不器用な歩みで
いろいろな人と出逢い
曲がりくねった道を伸ばしてきたが
いつのまに
「自由」の靴を
履(は)き違えていたようだ

(人生と 墓場の色は 白じゃない)

日頃のいらいら虫を忘れたい休日
気分を変えようと街に出る
一人 坐る カフェの窓

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