蚊/黒田康之
で
毛布を深くかぶって
お前の死を悼みながら眠るのだろう
それでもベープの電源は入れたままで
緑のランプはお前の友人たちの墓標として光るだろう
お前の愛する夫は
草の葉陰で夜の露を飲んでお前の帰りを待つのだろうが
お前はもう帰ることなどない
深く契ったお前はこうして血を流し
床板に晒されたまま朝を迎える
残念にも毒薬を含んでしまったその体はもう夫のもとへは帰って行かない
執念で破れなかった腹を破ったわたくしは
こうしてお前の夫と同じ月を見ている
私は毛布の影で
お前の夫のようなか細い寝息を立てて
レクイエムとしての羽音をお前のために鳴らして眠る
お前は俺の血を吸って
生涯をかけて契ったのだから
そのありきたりの末路を
ただ見て
そうして眠る
すべては毒薬の上を飛んでいったお前の罪だということにして
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