白いアジサイ/魚骨堂
 

梅雨入り後初めて晴れ間が見えて
その夜私は幸せな夢を見ていた
青いアジサイ
山の斜面のそこここに
私は白いアジサイを探した
あの鳥の翼のように真っ白で
ほんの少し灰色がかったアジサイを

小さな魂は死んでしまうと
一輪の小さな花になるという
私は白いアジサイをさがした 
空がほのかに明るくなり始める頃

君がいた

あの人のあだ名で呼ばれた君
まだ完全に白くなかった
寂しがりやの君
つぶらな瞳ににて
一滴のしずくが花びらについていた
まるで私を見ているかのように
そして貴方を

私はもう夢から覚めなければいけない
けど忘れることはないでしょう
ばらばらの場所にいても
心でつながった家族なのだから

目が覚めると
なぜかその夢を幸せだと思った
雨の降り始めた窓の外を眺めながら・・・


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