眩暈/藤原 実
あなたが悪戯な口笛のように
夏の庭に撒水するので
わたしの虹は劇的な哲学となりました
これはわたしらの恋の底なのでしょうか
あ、また
香水瓶のなかに夕立の雲を閉じ込めましたね
こうして透かして見れば
あなたの長い手紙の理由(わけ)も知れましょう
始まるはずのないものが始まった
これは眠りのない夢なのですから
終わるはずのないものが終わることもありましょう
鏡のなかの顔ならすっかり暗記しましたよね
でもこころはすぐに変わります
------階段を半分降りたら振り返ってください
戻る 編 削 Point(6)