「日本文学盛衰史」書評/佐々宝砂
日本文学盛衰史
高橋 源一郎著
出版:講談社
ISBN:4-06-210585-3
発行年月:2001.5 本体価格: \2,500
この600ページ近い大冊を書評するのは、個人的に勇気が要る。私は偏屈読書家ではあるけど、日本文学に精通してちゃいないからねえ、とはいえ、この本は必ずしも読者に特別な知識を要求する本ではない。これは文学史の本じゃなくて小説、それもかなり無茶やってる小説なんである。
しかし滑り出しはマトモだ。洋上で死を迎えた二葉亭四迷の状況が、きっちりしたノンフィクション風の文体で説明される。その後場面は、明治の文豪たちが集う二葉亭の葬儀に変わる。このあたりか
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