詩人たちは笑わない/成澤 和樹
あの詩人たちはせせら笑う
彼らは常に鋭い角度で
鈍い角度で
決して水平、フラットな切り口を見せない
次はどんな言葉で嘘をつこうか
様々なフォルムで
空間の魔力で
幼言葉の魔力で
決して私たちが使うような言葉を使わない
なのに何故
なのに何故
私たちの心に響くのだろうか
あのせせら笑う詩人たちの言葉が
それはまだ私たちが
角度やフォルムや空間や言葉の表面に支配されているからだ
あの詩人たちと平行に、しかしながら対岸に、対向に
笑い人たちから逃れるようにして言葉を紡ぐ人々がいる
彼らは口当たりの悪い、目を背けたくなるような言葉を使う
不安を煽り、しかしながら確かに感じる浄化を持つ
彼らの言葉は笑ってはいない
予感がする
この言葉たちこそが言霊であると
あの人々は笑わない
予感がする
彼らこそが詩人であると
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