Shaman's Temptation/佐々宝砂
 
手を伸ばせば届くところにいる
わたしのかげ
ううん
見えるところを探しても だめ
窓のそとの闇に
いくら目をこらしていても むり

ひとりで銀河に立って
ひとりで爆発して
わたし
すこしからだが冷えてきた

おねがい
すこしだけこっちにきて
すこしだけわたしと飛んで
わたしのかげと
すこしのあいだだけ

あなたひとりでは見えない世界を
見せるから
きっと

溌剌と熱いのがわかる
あなたにわからなくても
わたしにはわかる
ぴんと張ったばねのように
緊張した筋肉が
夜の弦をかきならす
まだ音楽になってるとは言えないけれど
わるくない
いまはそれ以上ほめてやらない
わるくはないけど
わるくはないだけ

わたしは傲慢で高慢ちきだから
みとめない
わたしはたったひとつの意味で嫉妬深いから
ゆるさない

飛んでいいのはわたしだけ
だからわたしはあなたを突き落とす
あとすこししたら
戻る   Point(0)