Shaman's Lullaby/佐々宝砂
 
夜風に杉の葉が揺れる
誰かの約束が
ほろり
足先に落ちてころがる

さあ 準備はOK? わたし

夜露でつめたいブルーシートに
さかなたちの影が泳ぎくる
さらりひらり木の葉よりかるく
あれは
夜の川のさかなたち

さあ 目を閉じて わたし

みかんの白い花が
まぶたのうえに舞い落ちる
あぶくたつ白い波が
轟音とともに耳になだれこむ

さあ 今度こそ ほんとうに

行ってきます
わたしが属する世界に
わたしは戦わねばならない
あなたと ではなくて
あなたのいない
あそこで

さあ おやすみなさい わたし
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