冷たい頬。/成澤 和樹
 
冷たい頬。

砂礫
襲う重低音
二色と紅が混ざった天上

神はそこに私を置いた

冷たい頬。

天と地の間に
私を置く
人間を置く
その意味とは

何万年前の原始人もここに立ち
揺れる低音と碧ヶ原とに心奪われ
時を忘れ
己の生命も忘れ
その景色の一つとなっていたのだ

遊びなのだ
完全な風景の間に置かれた趣向なのだ
私達人間の意味とは

完全なものを不完全なものにする
その代償を払わなくてはならないのだ
贖罪ではなく
より完全な景色を創るように
大地にそぐう色となるように
点となるように
模様を刻む刃となるように

冷たい頬。

未だ温かくなることは無い

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