スローモーションで行けばいい/望月 ゆき
とで、幸せになれるかどうかは知らない。
けれど、見ないふりをすることで、不幸せになる確率が減る。ってことに、気づいてしまったんだろう。
目の前を流れてゆく日々の中に含まれているキラキラは、決してあの頃より減ってなんかいない。
むしろ、増えているとさえ言えるだろう。
学生を終え、社会に出て、恋愛をし、結婚し、出産し、子育てをし。
そんなにも人生のパーツを増やしながら、生きているのだから。
変わったのはわたしの目なのだ。
忙しさにかまけて、見ないふりをするわたしなのだ。
目をじっと凝らせば、ゆっくりとスローモーションで過ぎてゆく日々。
それならわたしもスローモーションで並んで歩こう。
そうすれば、いつしかお互い手をとって、よりそって歩くことができるかもしれない。
そのときまた、その答えを見つければいい。
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