スローモーションで行けばいい/望月 ゆき
 
とで、幸せになれるかどうかは知らない。
けれど、見ないふりをすることで、不幸せになる確率が減る。ってことに、気づいてしまったんだろう。

目の前を流れてゆく日々の中に含まれているキラキラは、決してあの頃より減ってなんかいない。
むしろ、増えているとさえ言えるだろう。
学生を終え、社会に出て、恋愛をし、結婚し、出産し、子育てをし。
そんなにも人生のパーツを増やしながら、生きているのだから。
変わったのはわたしの目なのだ。
忙しさにかまけて、見ないふりをするわたしなのだ。
 
目をじっと凝らせば、ゆっくりとスローモーションで過ぎてゆく日々。
それならわたしもスローモーションで並んで歩こう。 
そうすれば、いつしかお互い手をとって、よりそって歩くことができるかもしれない。

そのときまた、その答えを見つければいい。

 



戻る   Point(16)