Kに贈る(百鬼歌集赤色版より)/佐々宝砂
 
わが歌は毒虫の背に投げられし赤く冷たき林檎のひとつ

階段の踊り場に立つあのひとの胸に抱かれてゐるオドラデク

かの城の地下奥津城の牢獄に我あり愛し君を待ちつつ

流刑地に落ちゆく君の背にせめて浴びせかけるは赤きガソリン

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