サイコチャイルド/黒川排除 (oldsoup)
老人は年金受給者名簿をぴたりと閉じた。所々折れているページ。次の老人がやってくる。
老人のひどく疲れたような眼球はくぼんだ中にもすっかり淀んでいた
くるくる回るオブジェ
排水の巡った噴水の中で紀元前のいつ頃からかああして回り続けて、荒廃している平野をすっかり忘れた
砂漠の狐が布を抱いた中に死んでいた流浪の民の奇妙な滑舌。
老人は困惑しながら金魚やヒヤシンスを養っていた水槽から足を抜く。
濡れた足が、
秘密の湖を見つけた盗人の殺した息のようにぴたりぴたりと歩く度に音を立てる。
眠りの中の夜の暗闇をもまどろます冷気を携えながら反り返った板張りの廊下で前進し反復する低音オルゴール
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