子/
佐藤伊織
子供が扉をあける 暗がりの重い扉を
そして漂うように群集を掻き分けると
重い扉の先の道を一人で歩いていく。
鋼線の擦れ合う音が身体を刻んでいく。
ふと、懐かしい声が耳もとをかすめる。
寂しくなって、そっとふりむいてみると
なんだ、それは人ではなかった。
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