希少を謳う/蝶番 灯
 
其れを哂っていられるかな

泣いたり悲しんだりしないにしたって

貴方が絶えたりしたら其れも 同じ

そしたらあたしは泣くよ 泣く筈さ

若しもあたしが貴方を憎んでたりしても



貴方はたった一人 単体で

あたしもたった一人 単体で

でもたった一秒の目配せの裏に幾重も 幾重も

あたしじゃ理解しきれない 甘い 辛い

記憶が重なっている筈だ

あたしが此れまでの十二年間を長いと思う様に

貴方の十二年の歴史の重さも其れ相応である


貴方は何時も独りなのに 誰も知らない振りをするなら

最後はもう あたしが構うほか無いさ


大丈夫だ 此れも奇跡なんだ何億分の一と云う

あたしが貴方を 悲劇から完璧に守る事は無理 でも

少しでも貴方が現在此処に息衝く事の

現在人間として生存する事の

類い稀な奇跡を少しでも

感じさせてやるよ
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