ひとつ腹の下/黒川排除 (oldsoup)
 
ブラキオザウルスの下で雨宿りをする ブラキオザウルスは小高い丘のてっぺんにいた ブラキオザウルスは動かなかった 雨はやむことを知らずやがて ブラキオザウルスとわたしと そうして一部の地表を除いてすべてが水没した それからどれだけの日が流れたのか覚えていない 水面は時々光や木っ端や中に手紙が入った瓶を流している わたしはその水平線を流れたいと思わない 時々雨が降ると わたしは屋根から生える柱に寄りかかり ブラキオザウルスに体温を移し 流れ着いた紙片と草を燃やした 歩きついた理由を失念し 家族の名前を忘れながら あの日忘れていた傘を思い出す 傘は傘立てにあった ハンマーはハンマー立てに 包丁は包丁立て
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