描夜(指)/木立 悟
 
雲のもの雲のもの
夜は白い雲のもの


雨が去ってしまう前に
次の雨がやって来て
玩具箱と足跡を濡らしてしまう
どこへ どこへと鳴きつづけ
砂を越える鳥たちと
同じ音色の婚姻があり
雨の向こうにかがやいている


ふと泣いている光に触れ
指は止まり
指は点る
あたりには三日月たちがいて
じっと指を見つめている


光を撫でる手のなかでさえ
静かに消えゆく微笑みを知り
新たな羽に濡れながら
指は再び描きはじめる







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