匂い/
竹節一二三
切傷から流れ出でる血脈の
つんと甘い花の香を追い
絡みつく蔓の下に
思い出にひそむ君を知る
部屋の隅にひざを抱え
秒針の刻む音を聞く
耳をふさぎ目を閉じ
丸まり確かめる止まらない鼓動
離れ行く身体と想の距離を
目の力で確かめて
傷口から止まらぬ血脈の
溢れ出る記憶の中の
君を思う
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