書いてあったという/後期
乱か、それとも単なる散歩か。
彼はその先を書かなかったという。いや、書いたのかもしれない。だが私は知らない。知らないままのほうがいい気もする。
結末が与えられた瞬間、夢は制度になる。
私は制度が苦手だ。
もし私がその続きを書くなら、こうする。
歩いていた電信柱は、やがて自分がどこへ向かっているのか分からなくなり、途方に暮れて、また元の穴を探すのだ。しかし穴はもう埋められている。誰かが別の新しい電信柱を立ててしまったからだ。
古い柱は、町の外れで立ち尽くす。
立つしかない。
歩いてしまった柱には、もう帰る場所がない。
……いや、やめよう。
私はどうも、すぐに自分の話にしてしまう。電信柱はただ歩いただけかもしれないのに。
けれど今、窓の外に立っているあの柱を見ていると、ほんの少しだけ期待してしまうのだ。
今夜、あれが抜け出してくれたら。
私の代わりに、歩いてくれたら。
そうしたら私は、ここで静かに立っていられるのに。
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