消える読者/後期
 
奪った。
もはやあなたは観察者ではない。
読者ではなくなった。

消えたのは誰か。
主人公か。
あなたか。
それとも、この文章か。

答えは存在しない。
存在しないことも、すでに事実として書かれた。
書かれた以上、消せない。

ページをめくるたび、あなたは微かに後悔する。
読む前の自分にはもう戻れない。
戻れないことに気づくと、奇妙な快感が芽生えるかもしれない。
それは、正しい。

物語はあなたを試しているのではない。
文字列は、あなたの存在を試す。
読むという行為が、すでに加害になった。
読むことは、読む前のあなたを消す暴力である。

そして、終わりはすぐそこにある。
三行で終わると言ったのは、この物語自身だ。
三行目で消えるのは、主人公ではない。
二行目で消えるのは、もう読者ではないあなただ。
一行目で、残るのは文章の皮だけ。

皮だけの文章は、あなたを見つめる。
見ることもできないあなたに。
なぜなら、あなたはもう存在していないのだから。



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