出勤/後期
 
午前八時三分、出勤。

私は会社に入る。
正確に言えば、
会社が私の中に入ってくる。

自動ドアがスッと開く、
社員番号が一つずつ肺に打刻される。
エレベーターは上昇する箱ではありません。労働密度を均等に撹拌する装置であります。二十七階に着くころには、私はすでに私でなく、総務課補助的存在物質B-17になっているのであります。

労働とは何でありましょうか?

それは時間を切り売りすることだ、
と昔の経済学者は仰いました。
だが我が社では、時間を売りません。
時間は我が社に永久滞留するのです。
退勤後も、夢の中で議事録を作成しております。睡眠は残業の一形態となっており
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