小説の習作 原稿用紙三頁 #18/田中教平
野菜の切り滓が溜まっていた。久しぶりの手の込んだ料理だった。加えて、先の小説のプロットで頭を使った事もあって、カナは疲弊の顔色を見せた。
ユウスケのスマフォが鳴った。カナに、座ってな、と伝えた。
「ああ、シンヤさん、先ほどの件ね、事実確認が間違って伝わってしまいましたですよ、それで、メールで改めて連絡させていただきました、はい、はい、以上です、はい」
短時間といえ、仕事に復帰してみると、やはり精神的に厳しいものがあった。しかし、行政への相談までして手にした仕事なので、ユウスケは頑張りたいと思っていた。
ともかく、新潮新人賞まで約一年ある。彼は、自分の内から、どんどん語が失われてゆくのを感じていた。ほんとうに百二十枚書けるかどうか。詩も書いてみたが、パソコンのAIに促されての事であった。AIの方が詩が巧かった。これから、詩人はAIとどう付き合ってゆくのだろうか。一番影響を受けそうな存在だとも思った。
ユウスケは久しぶりに村田英雄の「王将」を聞いて、おおっ、と声を上げた。
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