難解な宿題/後期
そのものが難解だ。
昼は刃、夜は黒い蜜。
血管を流れる星々が、理屈を嘲笑う。
ぼくは書く。
「私は別の場所にいる。」
ここではない。
教室でもない。
採点表の中でもない。
言葉は爆ぜる。
インクは稲妻だ。
意味は後から追いかけてくる犬のように息を切らす。
宿題とは、魂に首輪をつける儀式だ。
だが首輪は錆びる。
ぼくはそれを噛み切る。
紙は震えている。
いや、震えているのはぼくの手だ。
震えは恥ではない。震えは出発だ。
提出期限?
明日?
明日はまだ発明されていない。
ぼくは最後に一行、斜めに書く。
「答えは、逃走の速度である。」
そして紙を折る。
鳥の外へ。
窓の形に投げる。
難解な宿題は、空でほどける。
白い破片となって、都市の上に降る。
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