小詩集「マルメロジャムをもう一瓶」/佐々宝砂
 
かった
あたしはただ首が痛くなるほど空をみていた
頽落してゆく鳥はそれでも空いちめんにひろがり
不穏な黒雲は鳥を飲みこみ
飲みこまれた鳥は世界に消化不良を起こさせ
ひりだされた排泄物は悪臭を放ち 
その悪臭のただなかで
あたしはなぜだか優雅に紅茶を飲んでいたりするのだった

空のかなたから飛んでくるものが
何であるべきだったか
あなたはそれを覚えているか

ひそやかに伝えられる信号を
待ち疲れたあたしたちの種族は解さないのだ




[Good-bye, blue jeans]


ジーンズを履いてると
今日はデモがあるの?ときかれた
そんな時代の
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