いちりん一輪/秋葉竹
 

 

なぜ、泣くのかと
両手いっぱいに悲しみのかけらを掬いあげて
じぶんを認められない息継ぎが

君が立ちあがれない海の深さの果てで
抱き寄せ、抱きしめてくれる理由なら

朝の光は死のようだ

抱きしめたくても抱きしめられない
せつなさの重ささえ
心を眺める痛みに涙を流しながらでも
すべてを心に残したまま
潜りゆくしかない
朝の光から
深くへ逃げゆく夢ためにも

なぜ、歌うのかと
身体中を震わせながら夢の儚さを問うのなら
君を愛さずにはいられない蜃気楼が

僕の虚しい影絵のような不出来な笑顔を
簡単にかき消してくれる永遠だというのなら

朝の光はキスのようだ

あでやかな花が
いちりん一輪咲き誇り
いずれ新月の夜に萎れ、うなだれる
さだめの中の
はなたれた
最後の一輪の
好ましい一瞬だったとしても







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