不明/後期
る。
沈黙のうちに、
ひとりの人間が、自分から遠ざかる。
もし人が、自分自身を見失ったまま、それでも社会の中で正確に呼ばれ、分類され、処理され続けるとしたら、その人は果たして行方不明なのか、そうでないのか。
答えは出ない。
ただ夕方の町に、今日も放送が流れる。
どこかで誰かが探されている。
そして同時に、
探されることもなく、
記録の中に整然と存在しながら、
自分の内側で静かに道を失っていく人がいる。
放送はそれを告げない。
告げないが、
確かに、誰かがいなくなっている。
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