不明/後期
 
人が行方不明になるというのは、何も山に入ったきり帰らぬとか、海に出た船が戻らぬとか、そういう劇的なことばかりを指すのではないらしい。むしろ、もっと静かな、そして当人にとってもほとんど自覚のない仕方で起こることのほうが、ずっと多いのではないかと思われる。

たとえば役所の放送である。

「行方不明の方をお知らせします」

性別、年齢、服装、特徴
それらは整然と読み上げられ、町内の空気に混じって拡散する。数字と色彩と風采が、夕方の風の中に溶ける。そこには感情も悲劇もない。あるのは秩序であり、手続きであり、配慮である。

そして無事に見つかれば、同じ声が言う。

「先ほどお知らせし
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