客人/後期
 
あの人は、夜になると机に向かう。
昼間は静かで、どこか所在なげに庭を歩いているくせに、夜になると別人のように背を丸め、灯りの下で紙に向かう。私はその背中を、何度も見てきた。

ランプの火が揺れるたび、影も揺れる。
影はいつも、少しだけ本人より濃くて目を逸らしてしまう。

「まだ、眠らないのですか?」
そう声をかけると、あの人は曖昧に笑う。笑うが、目が笑っていない。何かに耳を澄ましているような顔をしている。

ある晩、衣擦れの音がした、と言った。
誰もいないのに、背後に気配がある、と言った。

私は障子を確かめ、戸締まりを見、火の元を点検した。どこにも異常はない。だが、あの人
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