ひかりをもらう日/花野誉
 

娘の卒展へ行くため
阪急電車に乗る
神戸方面へ

降りたのは
懐かしい駅

娘が幼い頃
二人で訪れた動物園

記憶にあるのは
平日で空いていたのと
曇った空
彼女のつむじと
白くて まあるい頬

その彼女が
私の背を越えて
もう 
つむじなど見えない

まさか
あの頃は思いもしない

動物園の真ん前
この美術館が
彼女の卒展会場

巡り合わせの
おかしみ

美術館に入れば
白く光る壁
鮮やかな色彩が溢れ
陽の気で満ちている

綺麗な色の服
聞き覚えのある声

──ああ、娘だ

出迎えてくれた
娘の笑顔

まばゆい、とは
このことか

案内された
彼女の作品は
圧倒されるばかりで

時折 輪に混ざる
彼女の学友たち

話し、笑い
しばし己の齢を忘れる

きらめき
潤いある華やかさ
純粋さが透けて見える
美しい人たち

何かを吸いこんで
何かが湧いてきた気分

ひとり 帰る家路

行きより
足取りが軽い











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