夜の空気/杉原詠二(黒髪)
 
空気は体の周りにある
眼には見えないけれども
私を包んでいる

しかし夜の闇を彫刻刀で切り出したとき
ぜんぶの冷気がまともにぶつかる
夜は終わらない
いつまでもどこまでも続く

はかない物体
それでも冷気に耐えている
私も例にもれぬ物体
だが恒温する力がある
心臓の鼓動が
優しく優しく

壁の木が語っている
夜の語り草を
永遠という幻を心の中にしまって
明日を迎えるためには
眠らなければ

周りにいる人たちと
お話しをできる
だけれどちょっと孤独
なぜなら私は誰かに
自分を明け渡したことがない
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