小説の習作 原稿用紙五頁 #07/田中教平
五百円を足してやっと「若山牧水全歌集」を手に入れる事ができた。
カナは月に一度のそのアルバイトを大切にしていて、五千円はしっかりと、自分の手元に残しておいた。カナはしっかりと食べられたのならば、そして、シミ、ソバカスを少なくできたのならば、満足な人間であった。
しかし、地方の文芸雑誌でカナは小説部門で奨励賞を受賞した。そのときから、カナの中で小説が特別なものに変化していった。
ユウスケは、カナの寝ている方向へ目線を移し、戻した。
(寝ていないで、本当は小説が書きたいんだよな)
ユウスケは二階リビングに向かい、開かれて置かれているカナの日記帳、その青いラインの内容を追っていった。そうして、自分にできる事がないか考えた。
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