高速道路/こたろう
 
僕は走る
ガードフェンスの切り立った影は
どこまでも続く檻

家畜の番号札を付けて
僕は走り走る
人間の顔を失い、手足を忘れ去り
駆動する心臓
      ヒト科クルマ

僕は赤い心臓を追い抜き
僕は褐色の心臓に追い抜かれる
赤い心臓、それは君かい? 褐色はあいつ?
違う、
君でもあいつでもないんだ、
「僕たち」なんだ
        だから「僕」もないんだ


       檻の彼方で
空が炸裂する
迫り、遠のく
青い光の塊
それは可能性の粋、自由、つまり
               不可能な現実、白日夢


まっすぐ突き進む迷路を
僕たちは走り走る

青空の光を背に負って
無数の夢を
     喉に詰めて
(希望が胸で焼ける)
一丸となった流動に
         嘔吐するクラクション
           消え去るエコー

分かれ道が見えず迷いながら
        迷ってるから
僕たちは
走り、走り
走る
[グループ]
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