明日から冬は居なくなるようだ。/山人
のであろう。もしかしたら夢の中での話だったのであろうか。母はただ、普通に歩き目的地まで行ったのかもしれない。そんなイメージなのか実際のことなのかわからぬが、雪というものは決してすべてを拒絶するものではないし、どうしようもなく冬に包(くる)まれる感覚がある。
厳密にいうと、明日から冬は居なくなるのではなく、今日の五時から冬は居なくなってしまった。とある、気になる事柄のせいで私は今日、一睡もしていない。膨大な権力が小さな生き物を壊滅させた。実のところ壊滅には至らなかったが、異星のコロニーの繁華街の一角の酒場には看板が風に揺れてカラカラと鳴っているだけのような朝であった。
こんな風に、私は一日怠惰に過ごしつつある。時間はそれは軟体動物のように少しづつ動いてはいたが、特にそれらに意思などなく、ただ私にまとわりついているだけだ。まとわりついているのであれば、わざわざそれを振りほどくこともない。やがてそれらはどうしたって気分が変わるのだ。その時、私はなにかをするのだろう。ところで、頭と手足を?がれた生き物よ、お前はいったいどこに向かうのだ!
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