凄いぞ!TOP10 「立春前」本田憲嵩/室町 礼
 
にはそうい
う転換は微塵もありません。視点がほぼ「ぼくの観察」に固定
されていて、
立春前の小春日→冬の仮面→蜘蛛→ぼくの指先→床に落ちる→
冬の冷酷な素顔、という"流れ"はあるものの、視点の質が変わら
ない。「ぼくが見て、ぼくが感じている」レベルを出ないため、
転換が「連想の移動」にとどまり、「世界の見え方が変わる」
ほどの跳躍になっていない。「春に見えたものが、実は冬の冷酷
さだった」という意味上の反転はありますが、その転換は「情緒
的なオチ」に近く、文体の崩れ、視点のズレ、時間の飛躍などに
はなっていません。
「そんな、 まだ依然として居座り続け
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