雪国/月乃 猫
{引用=
みぞれと呼ぶには、儚い白い粒子
海峡を冬景色にかえる
流木の積もった雪をはらう
歩き始めた息子の手は、
疑いを知らぬ 温もりで
もう一人の赤子は、腕のなかで
小さな寝息に
夢のなかを彷徨っている
遠く
灯台のある岩礁に
群れなすアシカは、張り裂ける声を
雪空にひびかせ、海岸までとどけ、
獲物に
黒い背びれをみせるクジラが二頭、
目の前をゆっくりといく
息をつぐ、その呼吸の音は、
確かに生きもののそれで、
冬の 波のない凍てつく水のひろがりに
鋭角の軌跡を残していく
そこは
白い化粧の森
黄昏れた 淡い陽の
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