大寒の頃/田中教平
 
り込んで座ってしまった。
「大丈夫だから。ここまでこれたら自分でできるから」
と、カナは息を切らしながらユウスケに伝えた。ユウスケはカナのバスタオルが普段どこに収まっているのか知らなかったので、ユウスケのバスタオルを差しだした。下着の場所は流石に訊いた方がいいと思い、カナに訊いて、捜して持ってきた。
 ユウスケは扉の閉まった洗面所の外に腰を下ろし、考え事をした。それは、老々介護をしている祖父のことだった。祖父も祖母の面倒をみていた。将来的にはこれが日常という現実も送らねばならないことを、ユウスケはこのとき初めて覚悟した。
「出たよ、腰ねぇ、お湯をかけたら少し良くなったみたい」
とカナが言
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