大寒の頃/田中教平
 
自宅に戻り、書斎に身を置いたユウスケは暖房を点けた。そしてこんなに胃の不調に悩まされている気を逸らそうと、パソコンでネット・ニュースを眺めたが、集中できず、やめた。
 近くにはカナのノートパソコンが置かれている。昨日カナは小説を書いているらしかった。その内容が気になって仕方なかったが堪えた。すると、カナがやってきて
「ねぇ、S銀行のカード返してないでしょ?」
 と言った。ユウスケが預金から三千円下ろしたっきり、返してなかったのだった。
 カナはこの家庭の家計のすべてを握っていた。家庭は節制につとめていたが、それは主にカナによって行われていた。カナの裁量と能力によって、この家庭の家計はまわっ
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