夜の散歩/
佐々宝砂
恋を語っているのだと
わたしはすこしおかしくなり
牛蛙の恋に
ひそかなエールを送る
見上げれば
鈍色の雲のあいだから
きっぱりした宇宙の漆黒が
わずかにのぞいて
ああ かんむり座だ
たしかに かんむり座だ
ぼう と たよりなげな
あの
ちいさな弧にならぶ
うつくしい星の冠を
いま見上げているのは
わたしだけではないと
わたしは信じてもいいだろうか
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