河童伝・第六話「見返す水」/板谷みきょう
語れば、
子どもにも、外から来る者にも、分かりやすい。
あの子は、その輪の端で、黙って聞いていました。
そして、静かに言ったのです。
「それ、全部、人の顔だよ。」
場が凍りました。
誰かが笑い、誰かが咳払いをし、
誰かが怒りかけて、言葉を飲み込みました。
あの子は続けます。
「水は、何も言ってない。」
「助けるとも、罰するとも、望むとも。」
「ただ、そこに在っただけだよ。」
その瞬間、
集会所の外で、
水音がしました。
ぴちゃり。
一歩、踏み出す音。
誰もが、息を呑みました。
扉を開けると、
川は、いつも
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