透明な火/atsuchan69
 
名前のない
ゆらめく魂が

夜の端で
少しだけ、
寝返りを打つ

遠くで
赤い灯がまわる

火元はもう、
地図と一緒に燃えたのに
残酷な温もりだけが、
まだ配られている

触れられない距離と
アニキみたいな優しさで
遊びだよ、
と冷たく笑うたび

火は
静かに燃える

好きだ、
という言葉は

洗われて
白くなり
冬空の下で干され
吊るされた大根とともに
揺れる

熱のない煙は
誰の名も呼ばずに

夜の上へ

まっすぐ伸びる

あとから来た人の
胸に染みるのに

やさしい旋律が
世界を撫ぜて

ボクは
好きだった歌を
思い出す

透明なまま
炎を見ている

火の傍から離れても
火遊びはまだ続く
それでもボクたちの夜は

朗らかに、

焦げていく



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