河童伝・第五話「子供と河童」/板谷みきょう
 
、寒いな。」

河童が言いました。

あの子は答えます。

「水がないから。」

河童は首を振りました。

「違う。見てるやつが、多すぎる。」

目が覚めると、あの子は確信しました。

沼は干上がったのではない。

**見られすぎて、逃げたのだ**と。

翌日、あの子は村の外れへ行き、川の水を、少しだけ汲みました。

誰にも見せぬよう、夜に。

それを、沼の底へ、そっと注いだ。

すると、土が、わずかに息を吐きました。

音もなく。

その瞬間、背後で声がしました。

「何してる。」

振り返ると、村の大人たちが立っていました。

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